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2014/04/18

MPU-PC98II

10周年企画で懐かしの機材を振り返っています。今回は20年以上さかのぼり、NEC PC-9800シリーズ全盛期のMIDIインターフェイス、 MPU-PC98II をご紹介。
MPU-PC98II
Roland MPU-PC98II

MIDIインターフェイスとは

MIDIインターフェイスとはパソコンとMIDI対応機器との間を取り持つインターフェイスのことです。最近ではパソコンだけでなく、タブレット、スマホ向けの製品も登場しています。

現在のシンセは USB や IEEE 1394 など別の方法でパソコンと接続することが多く、また、高品質なソフトシンセがありますから、別途MIDIインターフェイスを用意する必要性は少なくなりました。

今回は1990年代に使われていた代表的なMIDIインターフェースであるローランドの MPU-PC98II を取り上げます。

MPU-PC98II

ローランド創立25周年(1997年)のときの小冊子によりますと、「世界初のパソコン用インテリジェントMIDIインターフェイス」が MPU-401 (1983年)だとのこと。

その後、国内で圧倒的なシェアを誇っていたNECのPC-9800シリーズ用に発売されたのがローランドの MPU-PC98 で、今回ご紹介する MPU-PC98II はその廉価版です。ともに当時PC-9800シリーズで使われていたCバスという拡張スロットに挿すためのボードとなっています。

DTMという言葉が使われ始めた1990年代、先行機種の MPU-PC98 とこの MPU-PC98II が日本ではMIDIインターフェイスのデファクトスタンダードの地位を獲得します。DTMに必要な機器をパッケージにしたミュージ郎シリーズ(初代, Jr., 300, 500 など)にもこのインターフェイスが同梱されていました。

MPU-PC98IIの接続端子

MPU-PC98IIの接続端子

MIDI端子

MIDI IN が1つ、 MIDI OUT が2つ並んでいますが、それぞれの MIDI OUT を独立して使うことはできず、どちらからも同じ信号が出力される仕様です。

メトロノーム・アウト

前述の MPU-401 や、この MPU-PC98II にはメトロノーム機能も搭載されていました。ボード上にメトロノーム音用の小さなスピーカーが配置されるとともに、アンプなどに接続するための専用のメトロノーム・アウト端子(写真左側のミニジャック)も付いていました。

MPU-PC98IIボードの設定

MPU-PC98II は、ボード上のディップスイッチとジャンパスイッチを使って、I/Oポート・アドレスと割り込みラインを設定します。この時代を知っている方、どうです?懐かしいでしょ?^^

MPU-PC98IIの設定用スイッチ

I/Oポート・アドレスの設定(ディップスイッチ)

I/Oポート・アドレスの工場出荷時のデフォルトは、データ・ポートが E0D0h 、コマンド/ステータス・ポートが E0D2h です。

E0D0h: 1110 0000 1101 0000
E0D2h: 1110 0000 1101 0010

ポート・アドレスの 16bit のうち、黄色でマークしている 4bit がディップスイッチと対応しています。以下にアドレスとスイッチの対応を示します(表のピンクの部分がデフォルト)。

DIP SW Port Address DIP SW Port Address
C0D0h / C0D2h E0D0h / E0D2h
C4D0h / C4D2h E4D0h / E4D2h
C8D0h / C8D2h E8D0h / E8D2h
CCD0h / CCD2h ECD0h / ECD2h
D0D0h / D0D2h F0D0h / F0D2h
D4D0h / D4D2h F4D0h / F4D2h
D8D0h / D8D2h F8D0h / F8D2h
DCD0h / DCD2h FCD0h / FCD2h

割り込みラインの設定(ジャンパスイッチ)

基盤にも書かれている通り、 INT 5, INT 2, INT 1, INT 0 の4つから選べるようになっています。工場出荷時のデフォルトは INT 2 。

MPU-PC98IIのジャンパスイッチ

プログラミングのための技術情報

今の時代に MPU-PC98II のためのプログラムを書く人がいるとは思われませんが、一応、情報源として以下のものを挙げておきます。

ローランドの公式サイトからダウンロードできる「MPU-401 テクニカル・リファレンス・マニュアル」( MPU-PC98II とも共通)。プログラムからインターフェイスを扱うためののための情報が一通り手に入ります(ただし、サンプル・ソースはアセンブリ言語)。

当時の関連書籍としては、ジム・コンガー氏の『MIDIのためのCプログラミング』がC言語によるプログラミングを扱っています。MPU-401 向けに書かれたものですが、 I/Oポート・アドレスが違うことなどに注意すれば問題なかったと記憶しています。

以上、MIDIインターフェイス MPU-PC98II について振り返ってみました。 I/O ポートを介して音源を制御していた頃が懐かしいですね。

ちなみにブログのタイトル画像にはそのころに書いたソースをデザインとして取り入れています。注意して見ると、 midi_out だとか (port << 8) 、 velocity などといった文字列が見つかると思います。

参考文献

本記事の作成にあたり、以下の資料を参考にしました。

  • 「MPU-PC98II マニュアル」ローランド, 1989
  • 25 Years of Hits! (ローランド創立25周年の小冊子, 1997年4月)
  • 大西保弘『フリーソフトライブラリMIDIコレクション』秀和システムトレーディング, 1994
小山隆行
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